COVID-19過剰死亡率：州別分析

2023年5月、アメリカと世界保健機関の保健当局は、COVID-19パンデミックがもはや公衆衛生の緊急事態ではないと発表した。COVID-19の感染者数は減少しているけど、ウイルスの残留効果や将来の感染爆発のリスクがあるから、パンデミック中に取られた対策を見直す必要がある。アメリカの各州で死亡率に明らかな違いが見られるから、しっかりとした分析と未来の健康課題に対する計画が重要だってことが強調されてる。

パンデミックの影響を測るために、単に報告されたCOVID-19の死亡者数を数えるのではなく、余剰死亡数を見た。余剰死亡数には、COVID-19による直接的な死亡だけではなく、パンデミックの間接的な影響で亡くなった人も含まれている。たとえば、医療の中断や治療の遅れ、経済的な苦境などがある。

過去の研究は主にワクチン接種率や経済状況などの単一要因に焦点を当てて、COVID-19の死亡に関連付けていた。でも、今回の研究はワクチン接種率と州の経済を、年ごとの一人当たりGDPで表して、両方を見ようとしてる。GDPが低い州は、医療資源が不十分などの課題に直面して、死亡率が高くなる可能性がある。

パンデミック中の余剰死亡率に影響を与えるさまざまな要因を調査した研究は多いけど、これらの要因の特定の関係をアメリカで広く探求したものは少ない。この研究はアメリカの50州に焦点を当てて、ワクチン接種率と経済状況の相互作用をより明確に理解することを目指している。

#データソース

アメリカの余剰死亡数についてのデータは、疾病対策センター（CDC）から集めた。正確な比較を保証するために、2020年の国勢調査データを使って各州の人口に基づいて余剰死亡数を調整した。CDCは、現在の死亡率を過去のデータと比較して余剰死亡数を計算している。

また、ワクチン接種データもCDCから取得した。ワクチン接種が完了した人やブースター接種を受けた人の割合などの情報が含まれている。さらに、2020年の各州の一人当たりGDPのデータは、経済分析局から収集した。

#パンデミックの期間分析

研究では、パンデミックを分析のために4つの期間に分類した：

1. プレ・デルタ（2020年2月～2021年6月）：デルタ株が出現する前のパンデミックの初期段階。
2. デルタ（2021年7月～2022年12月）：デルタ株が感染の主な原因となり、ワクチン接種が盛んだった時期。
3. オミクロンBA.1（2022年2月～2022年3月）：初めてオミクロン株が優勢だった時期。
4. ポスト・オミクロンBA.1（2022年4月～2023年4月）：初期のオミクロン株の後の期間。

州は一人当たりGDPに基づいて、GDPが6万5千ドル以上の高所得州と、それ以下の低所得州の2つのカテゴリーに分けた。

死亡率、GDP、ワクチン接種率間の関係を分析するために、さまざまな統計手法を使った。

#死亡波とワクチン接種の進展を調査

パンデミックを通して、異なるウイルス株によって引き起こされたCOVID-19感染の明確な波が見られる。これらの波は、ウイルスの直接的な影響と他の健康危機に起因する日々の報告された死亡数のパターンを示す。このデータを視覚化することで、ワクチン接種キャンペーンと死亡率が時間とともにどう変化したかが示される。

たとえば、2021年末までに高いワクチン接種率を達成した州は、低い接種率の州に比べて一般的に死亡者数が少なかった。でも、時間が経つにつれて、多くの人がワクチン接種や過去の感染を通じて免疫を得たため、州間の死亡率の違いは、特にオミクロンBA.1の波の後に縮小した。

#死亡率の比較

パンデミック期間中の余剰死亡率を分析した結果、重要なパターンが明らかになった。最初は、プレ・デルタの段階では、ワクチン接種の取り組みが始まったばかりで、その影響は小さかった。デルタ波の時期には、広範なワクチン接種が行われ、高い接種率の州は死亡率が低かった。

しかし、オミクロンBA.1の波の後の期間では、多くの人が感染し免疫を得たため、州間の余剰死亡率は接種率に関わらず収束し始めた。これは、初期段階でワクチン接種が重要だったものの、自然免疫も後の段階で大きな役割を果たしたことを示している。

#経済的能力の役割

州の経済状況がワクチン接種率や死亡者数にどう影響するかを理解するために、さらなる分析を行った。州のGDPとワクチン接種の取り組みとの明確な関連性が見つかった。裕福な州は一般的にワクチン接種へのアクセスが良好だった。

さらに、低所得の州は、ワクチン接種率が裕福な州と似ているにも関わらず、死亡率が高いことが分かった。これは、経済状況がワクチン接種の準備だけでなく、パンデミック中の全体的な健康結果にも影響を与えることを強調している。

#余剰死亡率の調査

この関係をさらに理解するために、GDPとワクチン接種率を考慮して余剰死亡率を調べた。強い負の相関関係が見られた：GDPが高く、ワクチン接種率が高い州は、一般的に余剰死亡数が少なかった。しかし、経済的に恵まれない州では、収入がワクチン接種率よりも死亡率に対してより重要な役割を果たしていた。

#多変量回帰分析

以前の発見を基に、GDPとワクチン接種率が独立して死亡率にどう影響したかを明らかにするために回帰分析を行った。全州用のモデル1つと、低所得州と高所得州のための2つのモデルを設定した。結果は以下の通り：

• 全州では、GDPとワクチン接種率の両方が余剰死亡率に大きく影響した。
• 裕福な州では、ワクチン接種率が低い死亡率の主な要因だった。
• 一方、低所得州では、死亡率がGDPにより密接に関連していた。

この知見は、経済状況と公衆衛生政策の間の重要な相互関係を示している。

#今後の健康戦略への含意

この分析の結果は、将来の健康危機への対応を導くのに役立つ。公衆衛生戦略を計画する際には、経済的な能力に焦点を当てる必要があることが強調されている。経済資源が弱い州は、パンデミックに効果的に立ち向かうために追加の支援が必要かもしれない。

#結論

COVID-19パンデミック中の余剰死亡率の評価は、ワクチン接種と経済状況の役割について重要な洞察を明らかにした。両方の要因が結果に大きく影響したけど、その重要性は裕福な州と貧しい州で異なった。高所得地域では、効果的なワクチン接種キャンペーンが最も重要だった一方で、低所得州は同様の接種レベルにもかかわらず、より大きな課題に直面していた。

世界が将来の感染爆発に備える中で、これらの発見は、経済的不平等と強力なワクチン接種の取り組みの必要性を考慮した戦略の開発に向けて重要になるだろう。